静かに想いを燃やす“線香花火”魚梁瀬(やなせ)の木に愛を込めて(馬路村)

  • 2020年1月6日

原田雄輔さん

愛媛県生まれ。2018年9月、馬路村の地域おこし協力隊に着任。

魚梁瀬地区において、木工技術の習得・生産を中心とした地域活動に従事。

ミッション

  • 魚梁瀬木工所の活用、木工技術の習得(魚梁瀬地区担当)

ざっくりいうと…

  • 小さな頃から、木を使ったモノづくりに憧れて。知り合いがつないだご縁でひとり、馬路村へ。
  • トイレ、祭り、お酒……これぞ高知の、田舎あるある!と格闘する毎日。
  • 慣れないことも、一歩ずつ着実に。静かに燃やし続ける想いを持って、地域を背負う木工作家を目指す。

原田雄輔さんにインタビュー (馬路村)

スギを使ったマグネット

― このマグネットすごく、可愛い! 村の柚子とスギの木材を使ってるんですね。初めから、木工がやりたくて協力隊に応募されたんですか?

そうですね。高専を出てから8年ほど、飛行機の整備士をしていたんですが、木工家具の勉強がしたいと思い立って岐阜・高山の職業訓練校に入りました。卒業後、地元の広島でキャンピングカーの内装の仕事に就いたものの、やっぱり木でモノづくりがしたくて。子どもの頃から、木で鉄砲などのおもちゃを作るのが趣味だったんですけど、仕事にするのは今回が初めてです。

― 協力隊を通じて、長年の「好き」を仕事に。中でも、なぜ馬路村を選ばれたんですか?

元々、訓練校の同期が馬路村の協力隊になっていて、この魚梁瀬には遊びに来たことはあったんです。別自治体で、村の資源を使った活動をミッションとした募集があり見学したんですけど、自分には求められているレベルが高すぎて迷っていて……。そんな時、例の同期から「馬路村でフリーミッションの募集が出た」と教えてもらい、魚梁瀬には木工の施設もある、ということで挑戦しようと決めました。

― 隊員が新たな隊員を呼んでますね。ところで原田さんはそれまでも、進学、就職を機にあちこちに住んでこられたということで、田舎暮らしで困ることはなかったかしら。

うーん、とはいえここまでの田舎レベルは初めてです! まとまった買い物をするのに、車で片道一時間半かかるし……地方に住んでいた時も学校の寮だったし、今のような古民家に住んだことはなかったので。簡易水洗のトイレも最初は使い方が分からず、便器洗浄用のピストル(ホース式のウォーターダスター)は、ウォッシュレットかな?とか(笑)

— それ、めっちゃわかります。くみ取り式は知ってたけど、簡易水洗は戸惑いました(笑) 人付き合いはどうですか?

最初の頃は、地域の集会や飲み会に顔は出しても、どうしても所在なく感じてたんですが……消防団の活動やイベントなどへの参加を通じて徐々に慣れてきたと思います。消防団では、中芸(ちゅうげい)広域連合の消防大会で先日、魚梁瀬地区が優勝して盛り上がりました。日々の練習は大変だったんですけど、嬉しかったですね。あとはやっぱりお祭り、特に10月の神祭は一大イベントなんですけど、男たちがお神輿を担いだまま激しくジャンプするんですよ。肩が真っ赤とか、腫れるとかを通り越して、もうみんな紫に……で、おきゃく(土佐弁で「宴会」の意)になると、そんな肩をお互い激しく揉み合うんです(苦笑)次の日は、山師(やまし「林業従事者」の意)の大会に出る人も多いというのに、みんなすごいなと。

えええ、部活みたい! ちなみに高知あるあるの、お酒は大丈夫ですか?

元々強い方だったんですけど、すぐそこにある*集落活動センターのイベントで、勧められるがまま焼酎を飲んだらまんまと潰れて、「二日酔いしやすいやつ」認定をされました(笑) いくら出されたからと言って、計量カップでお酒を飲むものじゃないですね。

*集落活動センター
住み慣れた地域への愛着と、「これからもここに住み続けたい」という想いを持つ地域住民の方々が旧小学校や集会所などを拠点に、それぞれの地域の困りごとの解消や、取り組んでみたいことに地域ぐるみでチャレンジする仕組み
詳しくは「えいとここうち」から

計量カップで焼酎……洗礼を受けてますね(笑)お仕事のほうはいかがですか。

最初は右も左も分からなくて、正直、とまどいも多かったです。この木工工房も、これだけ立派な設備が揃っている反面、ほとんど使われていなかった状態で。数年前まで職人さんがいたそうなんですが……よく言えば一人占めだけど、だからこそ師匠も先輩もいないし、何をどうしようかと。でも、自分がここでモノづくりを始めていることが地域との交流を通じて少しずつ認知されてくると、みんなが中をのぞきに来てくれたり、木材を持ってきてくれたりするようになりました。特産の魚梁瀬スギや柚子など、品質の良い天然ものをたくさんもらいすぎて、今はちょっと処理が追い付いてないぐらい……。

嬉しい悲鳴! それにしても先ほどから、手掛けられた木工作品について話される時、穏やかだけどすごく嬉しそうな表情されてます。そういった愛情とか熱意が、地域の方にも伝わってるんでしょうね。

そういえば、お前は線香花火みたいだなと言われたことがあります。ぼん!と一気に爆発したりしないけど、穏やかに、細く長く、想いを燃やしている感じになって。

いいですね、キャッチコピーは「線香花火」いただきます! では、今後の展望を教えてください。

最近ようやく、材料も揃ってきたので、もっとここの機器・設備を使いこなせるようになって、まずは木工作家として活動していきたいです。だけど地域の方は、この工房で体験イベントやワークショップなどを開いて、ソトから人を呼び込む流れや交流を生みたい、という想いがあるのも分かってきましたし、自分自身もつくる楽しさを実感する人たちの顔を見たいとも思います。それと併せて、立ち上がったばかりの集落活動センターの活用方法も考えていきたいですね。

<イチ押し!うちの地域自慢>

「魚梁瀬の木工工房」

原田さん:まさに、今の僕にとっての「居場所」という感じです。みんなが「どう?」とのぞきに来てくれるのもありがたいですよね。ちょっと埃っぽいし、夏場はアツいし、虫も来ますけど、家よりも長い時間いるんじゃないかな(笑)

立花:紹介してくださるとき、嬉しそうですもん。俺の城!な感じですね。

この隊員をもっと知りたいかたはこちらから

Facebook:魚梁瀬ふるさと応援隊