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リスクを潰せば、本気が見える “チャレンジしない”移住者 岩坪拓雄さん(三原村)

  • 2021年8月27日

岩坪拓雄さん

大阪府出身。2021年4月、三原村の地域おこし協力隊に着任。

村の豊かな森林を守るために、三原村森林組合の指導のもと、地域森林管理経営に関する知識・技術習得に励む。また、わな・網・銃の狩猟免許を活用し、有害鳥獣駆除や狩りの分野で活躍すべくスキルを磨いている。

ミッション

三原村森林組合での勤務・研修を通じて林業知識・技術を習得し、三原村の豊かな森の担い手となる

ざっくりいうと…

・旅のご縁で導かれ……るも、勢いで移住したとは思うなかれ。外濠を綿密に埋めるスタイルを貫く。

・40歳過ぎて飛び込んだ一次産業の現場。体力と気力のチャージには、時間と自然の豊かさが欠かせない!

・受け入れてもらった土地で、並々ならぬ覚悟をもとに生きていく。一日でも早く、一人前になるために。

岩坪拓雄さんにインタビュー (三原村)

― 田舎暮らしでの失敗談、やっちゃったエピソードを中心にお聞きしたいなと。

それがないんですよ、のっけから記事を書きにくい感じでごめんなさい(笑)。たまたま旅行で高知を訪れたのをきっかけに移住を決めてから、息子の高校入学と入寮を待って単身で三原村に来るまで3年ありましたから。移住相談会やこうちフォレストスクール(※1)などの林業体験に参加したり、収入の足しにしようと狩猟免許をとったり、あれこれ準備してきました。

(※1)高知県の実施する林業の仕事を知り、直接林業で働く先輩と交流できる体験プログラム
http://www.kochi-forest.com/

― おお、たまにいらっしゃる“用意周到系“の協力隊。しかも現時点でまだ着任3か月ですし、ハプニングも少ないか…。

身の危険という意味での冷や汗はしょっちゅうですけどね、森での仕事中は。元々会社員なので山のことはアウトドア程度の知識しかないし、チェーンソーも刈払機も持ったことはなくて。思わぬ方向に木が倒れてくるなど、ヒヤリハットは毎日です…。

― 前言撤回! たぶん、ご自身はハプニングとみなしてないだけで、実は案外ハプニング遭遇してますね!?

ここでの生活も仕事も「こういうものだ」と覚悟して来ているからかなぁ。村には予め2回足を運んで、安全管理や労災、怪我した時の保障なども含めて森林組合長に直接うかがって……普通はつっこみづらい話かもしれませんが、かえって“本気”が伝わったのかなとも思います。新しい人が入ってもなかなか定着しづらいみたいで。ましてや40歳超えたおっさんが、未経験で林業始めたいなんて普通に考えたら使いにくいのに、よく受け入れてくれたなと思います。そこは自分でも自覚してるので、早く使い物になれるよう頑張ってます。

— なるほど。自分のリスクや不安を潰すプロセスが、相手からの信頼を築くきっかけにもなっていると。とはいえ、40歳過ぎから初めての一次産業となると……。

まぁ体力的にはかなりキツイですよ! 徐々に慣れてきた感覚はありますけど、道具だけでなく、体の使い方、力の入れどころ・抜きどころも知らなかったわけなので。山にしたって、道なき道なきを進むこともありますから。ただ、だからといって「しんどい!」だけということはないんですよね。どれだけ体が疲れても仕事時間にメリハリがあるし、刈った分だけ結果が見えるのはやりがいです。

なるほど、すごく充実してるご様子!プライベートはいかがです?

村にはコンビニも大きなスーパーもないですけど、魚も野菜も安くて新鮮なものが揃うし、元々料理が好きなので、旬の食材で料理するのが趣味になっていますね。この間は、サンノジ(ニザダイ)という魚が大きいのにえらい安かったので、試しに買ってみて刺身にしたらめちゃくちゃ美味かったです。

最高です……。

それとなんといってもビリ鰹(※2)ですね、今まで食べてた鰹とは別次元の旨さで。これはここでしか食べれないですね。ちなみに三原村はどぶろくが有名ですが、村の柚子を使った調味料(※3)に汲み豆腐や刺身こんにゃくと、酒のアテも揃ってますから。誰にも邪魔されず、ひとりでしっぽりやる時間が好きなんですよ……。

(※2)水揚げされたばかりで死後硬直前の鰹

(※3)「ゆずからりん」青ゆずの皮と赤唐辛子、塩を使った赤い柚子胡椒。

— 今日イチ、ナイスな表情です(笑)でも、呑兵衛という高知移住にぴったりの資質(?)があるのに、コロナ禍では飲み会やイベントの機会もなかなか、ですよね?

確かに「酒は呑めるか?」と移住前に聞かれたんですけど(笑)、祭りやイベントは軒並み中止ですね。地域の方との関わりを持つ機会が少なくて残念に感じていたところ、移住相談員の方から消防団に入らないかとお声がけがあったので、良いチャンスだと思って入りました。普段からも、野菜や苗のおすそ分けをいただいたり、森林組合の方に猟の獲物の解体に必要な道具を作っていただいたりと、皆さんに良くしてもらっています。

早くも、地域に根付きつつあるのがわかって頼もしい! 協力隊や移住に魅力を感じるけども、新しい仕事や土地にチャレンジする自信がイマイチという方にメッセージをお願いします。

うーん、移住生活にはもちろん厳しいこともあるので、あまりハードルを下げたいわけではないんですけど。自分としては、これがチャレンジとは捉えてないんですよね。

ほほう……と言いますと!?

しんどかろうが何だろうが、本当にやりたいことなら、楽しくやれば楽しくなるんじゃないですか? 迷っているならやめといたほうがいいと思いますし、環境を変えたいのならお勧めしますし。「やってみよ!」という気持ちがあれば、自分のように林業の経験がなくても、受け入れ先がOKと言ってくれるのなら、あとは本人次第ですから。「思ってたんと違う!」となるかどうかも本人次第でしょうけどね。

何においても当てはまるお言葉、いただきました!

<あるある!高知のヒト・モノ・コト>

「だばい」

意味:なだらかな(平らでも、急でもない斜面の様子)

岩坪さん:「そこのだばいところ刈っといて!」って言われてもわからなかったですね。

立花:これは私も初めて聞いた気がします。

岩坪さん:まぁ、“だばい”だけじゃなくて、何を話してるのかさっぱりわからん!という方もいますけど(笑)

立花:それは田舎あるあるです(笑)