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海で働き、畑でつながる 今日も早起きな“器用富豪” 櫻井博一さん(奈半利町)

  • 2021年8月27日

櫻井博一さん

茨城県出身。2020年7月、奈半利町の地域おこし協力隊に着任。

シーカヤックやシュノーケリング等のアクティビティを通じて奈半利の美しい海を楽しめる「奈半利町海浜センター」にて、施設運営・ガイドやプロモーションに従事。観光を通じた町の活性化を目指して奮闘中。

ミッション

奈半利町海浜センターを活用した、観光地としての活性化

ざっくりいうと…

・奈半利が誇るサンゴの海岸を案内するのは、地獄で辛酸を舐めつくしてきた筋金入りの営業マン。

・余暇に始めた畑づくりでの収穫は、農作物だけじゃない。地方で生き抜く、武器を手に入れた!

・懐の深い土佐の人と文化に飛び込んだら、チャレンジあるのみ。経験から学び、将来の道を模索する。

櫻井博一さんにインタビュー (奈半利町)

― 主な活動としてシュノーケリングやシーカヤックのインストラクターをされているとのことですが、前職もマリンスポーツ関係、というわけではなく?

運送会社で営業をやってました。ただ、自分の船を持っているぐらい釣り好きだったので、海での仕事には憧れがあって。当初は漁業を考えていたんですが、新規就労のハードルが高かったこともあり、色々と情報を集めた上で奈半利町海浜センターのミッションに応募することにしました。それまで高知に特にゆかりはなかったんですけど、40歳過ぎたら知らない土地に住みたいなぁと思ってたし……何しろ、かなりかっ飛ばして生きてきたもので。

― “かっ飛ばした半生“について、ぜひ詳しくお願いします!

高校卒業後、何軒か飲食店を経験した後に営業の世界に入ったら、そこそこ成果が出たんですよ。で、ステップアップしようと某業界に転職したら、仕事としても働き方としてもまぁ見事にブラック(笑)マンガみたいなとんでもない売りつけ方、休めても月に2日、転勤続き……。

— 言葉の重みが違います……。

ちなみにその後お世話になった前職では、契約を取りに行く以外にも、新規事業のアプリ開発やら廃棄物収集運搬やら、かなり幅広い業務に携わって。今は海浜センターをPRしようにも、コロナウイルスの影響で県外から団体客を招きづらいし、リソースも限られるなかでの営業にはもどかしさもありますが、これまでの仕事や経験は結果的に役立ってると思いますよ。人との関係のつくり方とか、堆肥を作るための微生物や発酵の知識とか。

ん、堆肥??

協力隊卒業後の仕事の選択肢になればと、サツマイモを植え始めたんです。地元茨城の名物ですし、ちょうど今住んでいる借家のオーナーさんが「タダでかまんよ!」と、一反ちょっとの休耕地を貸してくださることになったので。まだまだ農業といえるような状態ではないんですけど、やっているうちに趣味みたいになって、毎朝5時起きで畑に出るようになりました。

すっかりハマっちゃったと。海も山も、楽しむ資源に困らないのはいかにも「高知暮らし」ですね。

草ボーボーの広大な土地をちまちま整備していたら、「何しゆうが?」「花植えたんか?」と通りすがりの方から声をかけてもらうようになりました。畑のプロともいえる皆さんから現場ならではのノウハウを学べるようになったのはもちろん、「頑張ってるね~」とお菓子の差し入れや野菜・果物のおすそ分けをいただいたり、ご近所さんにかまったりかまわれたりの関係ができて。一気に人づきあいが広がったのも嬉しいところですね。

— なるほど、人とのつながりは作物以上の収穫かもしれません。田舎では尚さら。

仕事も暮らしも理想に縛られすぎれば成り立たなくて、うまくいかないことも色々ありますけど、人と積極的に関わろうという覚悟があれば、助けてもらえる、生きていける、とは思いますよね。ただ、あくまで「助け合う」前提なので、都会での生活とは労力のかけ方が違うだけで、その総量は結局変わらないとも言えますが。

首を縦に振りすぎてちぎれそう。日頃からすごく考えて動いておられるようなので、この一年で「やっちゃった」みたいな失敗談はほとんどないですか?

逆にたくさんやらかしすぎて、どの話をすれば良いんだか。例えば仕事面では、海浜センターに眠っていたコーラル船(※)をスタッフで手分けして改装したんですが、自分が塗った側だけ液だれしまくってひどい仕上がりで、これにお客さん乗せるの!?と思うぐらいで。プライベートでいうと、ひろめ市場でたまたま知り合った人と一緒に呑み始めたらまんまと潰され……記憶は断片的だわ、ウン万円が一晩で飛ぶわで。

(※)サンゴ(コーラル)鑑賞用の船のこと。

あれ、意外にも私のお仲間かもしれない(笑)

むしろ、大抵のことはやってみればできる、とあまり深く考えないで行動に移すタイプです。ある意味、器用貧乏でもありますが、学に自信がない分は経験で補おうと。もっとも地方では、何かを専業にして食べていくのは難しいので、あれこれチャレンジできるタチというのは強みかもしれませんけど。

それはもう器用富豪(?)というか、強みだと思います! 収入源は絶対、多いに越したことはないはず。

今はまだ、先がはっきり見えているわけではないし、入ったお金がそのまま出ていくような状態なので、リモートワークで稼いでくれている妻に頭が上がらないんですが……(笑)若い人であれば、ワーキングホリデーのような感覚で移住や協力隊に挑戦してみるのもアリじゃないですかね。高知には、受け入れてくれる人と土地には、受け入れてくれる度量があるように感じます。

<あるある!高知のヒト・モノ・コト>

「可杯(べくはい)」

コマ(サイコロ)を振って当たった人がお酒を飲む、というお座敷遊びで使うおちょこで、天狗やひょっとこのお面の形をしたものですね。底に穴が開いていて、飲み干すまでテーブルに置けないという鬼畜設計。

櫻井さん:ひろめ市場でベロベロになった要因のひとつです。イカサマじゃないか?と疑うぐらい、自分の方に転がってきましたよ。

立花:お土産物コーナーに売ってるので、リモートで高知気分を味わうにはピッタリですかね?

櫻井さん:あれ以来、高知県民の前で「酒が飲める」とは言うまいと心に誓いましたけどね……。