飯島信也さん
茨城県生まれ。2018年4月、香南市の地域おこし協力隊に着任。
香南市農業活性化地域協議会の一員として、山北みかんやニラ等の農産物のプロモーションイベントの管理・調整や加工品のデザインに従事。農家さんの「つくりたい」という想いをカタチにすべく奮闘中。
― 最初にミッションの概要を見たときに、がっつり農家さんをされているのかと思いましたが。
打ち合わせや農産物の撮影のために畑に行くこともありますが、今はデスクワークが中心ですね。香南市名産の山北みかんを中心に、農産物のPRイベントの企画・運営、加工品やパンフレットのデザインなどを手掛けています。移住前は、長らく東京のデザイン事務所に勤めてから独立、それと並行して、障がい者支援のNPO法人で利用者に絵を描く楽しさを伝える仕事もやっていました。
― 東京でデザイナー、となると仕事に忙殺される毎日。からの、「都会はもう無理!」という流れですか?
そうですねえ、徹夜続きの働き詰めで体壊しちゃって……その後、鎌倉に引っ越してからは比較的ゆっくりできてたんですが、娘が生まれ、「より自然豊かなところで暮らしたい」という気持ちが強くなって。色々情報収集するなか、「ふるさとワーキングホリデー」の説明会でたまたま高知県のブースを訪れて、高知市土佐山に1カ月滞在したのが移住のきっかけです。
― なるほど。協力隊になる前に、ワンステップあったわけですね。
くみ取り式トイレでボロボロの古民家……良く言えば(笑)に住みながら、ゆずの収穫のお手伝いをしていました。その間に、香南市役所で働いている妻の知り合いから、デザインのできる協力隊を募集しているがどうかと声をかけられたんです。その後何度か訪れるうちにこの土地が気に入って応募したのですが、元々は協力隊になろうと思っていたわけではなくて。
— 手段がたまたま協力隊だったと。でもやっぱり、手に職がある、場所を選ばない仕事のスキルを持っているって、強いですね!
確かにそれはありますね、妻もコピーライターで場所を選ばないし。ただ、かといって「どこでもできる仕事」一本でやっていくのって実際は難しいかと……理想としては、「ここでしかできない仕事」も持って二本柱でやることです。農業もその選択肢のひとつだなと思い、今は協力隊の仲間と農地を借りて、米やハブ茶なんかを育ててます。
— おお、堅実。ご家族もすっかり、こちらの暮らしを気に入ってますか。
妻は元々高知出身ですし、娘も初めこそ友だちと離れるのを寂しがっていましたが、休日は家族であちこちのイベントに出かけたり、景色の綺麗なところを巡ったりして楽しんでますね。ちなみに娘は、保育園から帰ってくるなりバリバリ土佐弁をしゃべり始めるので、「適応力高っ!」って驚いてます。
— これぞバイリンガル教育ですね! さて、高知の暮らしで困ったことや「やっちゃった!」ことってあります?
失敗ってほどではないんですけど、やっぱりこちらの飲み会は酒量も飲み方もなかなかヘビーで……結構ベロベロになって記憶失くしたり、いつの間にか身に覚えのないアザを作ってたり、はあります(笑) しかも土日関係なく働く農家さんたちの会合って平日が多いので、翌朝自分は仕事で使い物にならないという……。
— わかる!! みんな、やたら夕方とか夜に会議入れたがりません? むしろ、「打ち合わせ付き飲み会」。
ちょうど終わるかな、ぐらいの絶妙なタイミングで仕出しが届くんですよね(笑) でも生活面では高知市へのアクセスは良いし、自転車圏内にスーパーもあるし、特に不自由ないですね。何かあれば、市役所の職員や先輩移住者、地元の方々にも気軽に相談できますから。
― 程よい田舎感を満喫してますね。お気に入りのスポットとかありますか?
山の中腹にあるみかん農家さんの園地は、海と香南市の町並みが見渡せて、収穫時期は一面オレンジに染まるのが綺麗ですよ。あとは、沢にはよく行きますね。
— 沢! なかなかコアなチョイスですね。
予め検索したり、たまたま通りかかって見つけたりして。一人でぼーっと、何時間でも過ごせる……なんかこう、自然と一体化する感じ?
— ……癒されているというより、そのうち解脱してしまいそうな絵面ですね(笑)では最後に、ご自身でキャッチコピーをつけるとしたら?
うーん、妻にはマイペースだと言われますし、「のんびりな人」?
— 初対面ですが、奥さまのご意見に一票! とにかく、一人の時は捜索願出されないように気をつけてくださいね!?
「香南の野菜」
飯島さん:都会だと、農産物の表示で見る部分って産地とか農薬の有無とかでしたけど、こちらに来てからは生産者の名前で選んで買っています。お気に入りの農家さんはもちろんですけど、それ以外でも全然ハズレがないし。味の濃いトマトとか、りゅうきゅう(はす芋の葉柄部分のこと)のように珍しい野菜とか、とにかく全体的にレベルが高いですね。