原賀鮎子さん
神奈川県出身。2019年6月、越知町の地域おこし協力隊に着任。
観光振興や賑わい創出のため、各種イベントなどの企画・運営やPR活動に従事。現在は、町の特産である山椒をとりいれた山椒ミートパンや、コスモスを使ったグルメ商品を開発中。2019年に好評を博した「横倉山自然の森博物館」のライトアップイベントも第2弾の開催に向け準備中。
・観光・イベントなどの支援や商店街の賑わい創出
・町のPR活動(SNSの活用や動画作成など)
・仁淀川に一目惚れ。移住に対する不安を取り払ったのは、地域に入り込んで人脈をつくる「地固め」だった。
・仕事でもプライベートでも、「地固め」のカギはやっぱり人脈。ただし巨大な●●との闘いだけは、自力で制すべし!?
・大好きな自然を味わいながら、やりたいことを探していくために。無敵の笑顔と、ごきげんは欠かせない!
― 越知町といえば、「奇跡の清流」と名高い仁淀川が流れていますよね。そこの協力隊のお名前に「鮎」の漢字が入ってるって……ちょっと、漫画みたい。
出身の神奈川県を流れる相模川も鮎で有名だったことと、6月生まれだったことから、釣り好きの父に名づけられたんですが……子どもの頃は本当に嫌でしたよ、「クジラ子」とか「シャケ子」なんてからかわれるし(笑)。でも今は、かえってこの名前で得をしてるよ、と他の隊員にうらやましがられるくらいです。ローカルテレビ局のプロデューサーにも「鮎子」の字が目に止まったそうで、情報番組に出演して町のPRをしました。
― お父さんも、鮎が高知まで泳いでいくとは思わなかったはず。でも協力隊として着任するまで、何度か越知にはいらしていたそうですね。
着任の3年ほど前に高知を旅行中、初めて仁淀川を目にした時「私はここで生まれたんじゃないか!!」というほど運命を感じちゃって、この川沿いに住みたいなと。ただ、いきなり一人で田舎暮らしというのもさすがに不安で……。まずは試しにと、ふるさとワーキングホリデーの制度を使い、農作業のお手伝いをしに来たのが越知町の農園だったんです。ここの方が本当によくしてくださったのと、役場の移住相談員や協力隊の卒業生の方とも交流してご縁ができたのとで、同じ年にもう一度同じ農園でアルバイトをしながら3週間滞在して。その約半年後に、協力隊に応募しました。
― おお、もはや宿命! とはいえ一時の勢いではなく、外濠をしっかり埋めるタイプですね。日々の活動も、コツコツやっていますか?
まず越知がどんなところか、何を求めているのかを知るために、この一年間は「人と仲良くなること」がテーマでした。同じミッションの隊員と一緒に商店街の全店舗さんへ挨拶することから地道に始めて、最初から外の人を呼び込むのではなく、地元の人が「そこ、ウチ!」と自慢したくなるまちになれば、自然とにぎわいが生まれるはずだ、という考えに至って。ここに埋もれた魅力的な場所やモノに、地元の人が改めて気づくきっかけになればと、町立博物館のライトアップイベントの企画・運営や、特産品を使ったご当地グルメの開発を進めています。
— 最初お話しした感じはてっきり、ポワポワ天然系かと……(汗)。もとい、しっかり系となれば、特に大ピンチに遭遇、とかはないかしら。
今のところないかなぁ。ただ強いていえば、クモってこんなにたくさん種類がいるんだなぁって。
— あー、それは田舎あるあるの。
手の平サイズのとか。
— え!! それはさすがに私も、見たことも見たくもない(笑)
当初、家に出没した時には、近くに住む隊員にヘルプコールをして助けてもらってたんですけど、ある日トイレで出くわしたのが夜中だったので、さすがに呼べなくて。ほうきで必死に格闘して、何とか追い出したんですが……。後日外で、そのクモがアマガエルを捕食してるのを目撃した時はさすがに引きました!
— カエルがクモを、じゃなくてクモがカエルを……(絶句)
あ、でも今住んでいるのは、運良く先輩移住者に紹介してもらった家なんですが、望み通り仁淀川沿いだし、憧れの平屋だし、日当たりも良いしで、最高ですよ(ニコニコ)。あとは車の運転が下手なので、着任2日目でぶつけて1年間で計3回、小さくガリガリっとやるのはもっと……(ニコニコ)。
― ええと、実は結構やらかしてるけど、“ごきげん“で全部乗り切るタイプですね(笑)
周りからは「何だかいつも楽しそうだね」と言われるんですが、それも全部「人」のおかげだなと思ってます。地域のみなさんは何かと声をかけてサポートしてくれる反面、立ち入りすぎないというか、程よい距離感で。隊員同士も仲が良くて、役場の方々に相談しやすいのも有難いです。もちろん、自分から交流しに行くこと、行事に顔を出すことも大事だとは思います。
— 越知に引き寄せられて移住した一方で、その笑顔で越知の方を引き寄せてる気がします。
他に言われるのは、季節ごとにあちこち農作業のお手伝いに行くせいか、「アクティブ」とか「野生児」とか(笑)。 ちなみに協力隊卒業後は、資格を持っているカラーセラピーや、ご当地グルメの食品加工などでの起業を視野に入れているんですが、この農作業のアルバイトはずっと続けたいと思っています。
— 今後のビジョンもばっちりですね。では、協力隊や移住を考えておられる方に一言、お願いします!
チャレンジは絶対にした方が良いですよ! 挑戦して「失敗もできる」のが協力隊だと思うので。それに動き回っていれば、「イイ人」も見つかりますから(ニコニコ)!
— ぬ!? ちょっと、その話、詳しく!!!
ふふふ(笑)
— 越知最大のクモはあなたでは……!!
「かまんよー!」気質
原賀さん:あくまで自分の感覚ですが、高知には「自分から世話を焼きに行く」というより、「頼られるとうれしくなってやっちゃう」というタイプの方が多いのかな?って。何か困ってたり、お願いしたりする時に、よく「かまんよ、かまんよー!!」と笑顔でやってくれますよね。