斉藤祥太郎さん
東京都出身。2019年2月、宿毛市の地域おこし協力隊に着任。
山を守る自伐型林業の担い手として、自立を目指して修行中。
—着任して5カ月、今22歳ということは、大学新卒で協力隊になったんですね……あれ、でも着任は2月?
はい、もったいないと散々言われつつ中退してきました(笑)育ったのがずっと東京で、中学生ぐらいから「とにかく外へ出たい!」という気持ちが強かったんです。そこでいざ就職を考える年齢になって、このまま普通に東京の企業でサラリーマンをやるのは何か違うなと……そんな時、たまたま観たYouTubeの動画で協力隊の制度を知り、JOINのホームページ(ニッポン移住・交流ナビ)をのぞいてみたのが応募のきっかけです。
—なるほど。そんな中で「林業」や「高知」って、初めからキーワードとして持っていたんですか?
いえ、大学は経済学部で、林業どころかスギとヒノキの違いも分からないぐらいでした。場所的にも、実は高知どころか四国にも来たことはなかったんですが、とにかく東京から遠くて、でも寒いのは嫌だから南で……と探した時に高知がやけに目について。どうせならさらに端っこのほう、海も山もあって、できることの選択肢が多そうなミッションで……じゃあ宿毛で林業か! ぐらいの感じです(笑)
—おお、なかなかチャレンジャーというか……まるで旅行先を決めるみたいなフットワークの軽さですね。
うーん、「なんとかなるでしょ」っていう“とりあえずやってみる”精神は、学生時代に海外でバックパッカーをしたり、一人でヒッチハイクしたりという趣味のおかげかもしれません。実際、協力隊としての暮らしも、結構なんとかなっちゃうんです。林業だってもちろん楽な仕事ではないですが、「やばい、死んじゃう!」というほどにはまだなっていないですし。
—その「えいや!」という思い切りは、新しい地域に飛び込んで生きていくという上ですごく大事ですよね。困ったことやハプニングは、何かありました?
生活の不便さという点では特に困ったことはないです、ネット通販も届きますし。あ、でもまだ5月だったというのに家中に蚊が大量発生して全身刺されまくって一晩眠れなかったのは大変でした。殺虫剤と防虫剤をこれでもか! と使ったら治まったんですけど……友達には「お前、虫対策に1万円も遣ったことあるか!?」って、今でこそネタにできてます(笑)20cm近いサイズの蛾に出くわすと、さすがにまだゾッとしますけど。
—どちらの状況も、想像するだけでムズムズする(笑)
あとは人と人との距離感というか、人間関係の近さという部分が東京とは全然違って、正直未だに慣れていないところです。田舎は都会と比べて地域や人のつながりが強い、という話はよく聞く“地方移住あるある”なので知識としてはあったんですが。どこまで入り込まれるか、自分は踏み込んでいいのか、という点は、自分で経験してみないと分からないものだと痛感しています。
—距離が近いからこそとても温かいのだけど、時々息苦しくなるところもあって……。でも、市町村の担当課のみなさんとのやりとりを見ていても、弟分のように可愛がられていますね(笑)
—度胸と愛嬌があればどこでも生きていけますよね。では今後の抱負と、事前にお願いしていたご自身のキャッチコピーはいかがでしょう。
自伐林業は「半林半X」というのが基本のスタイルなので、Xとしてガイドのような観光に関わる仕事も今後できたらと考えています。で、キャッチコピーが……思いつかなくて。(課のみなさんに)僕、何かあります?特徴とか?
(「若い」「ちょっと変わってる」「鍵ついてない家にそのまんま住んでるもんな」などの声が飛ぶ)
—仲良しだ(笑)
全然キャッチコピーじゃない(笑)会社勤めを経ずに一次産業に飛び込んだ、という若さは確かに強みだと思いますが……あ、あとは世間でよくいうのとは逆に「オンリーワンじゃなくて構わないから、ナンバーワンになりたい」みたいなところは、ちょっと珍しいと言われます。
—世界にひとつだけじゃなくて良いと(笑) よっしゃ、「若い」と「ナンバーワン」でなんか考えときます!
すみません、お願いします。
「ざまに」
意味:大変に。すごく。
例:このカツオ、ざまにうまいろ!? おらが釣ったがって!
訳:このカツオ、めちゃくちゃうまいだろ!? おれが釣ったんだよ!
斉藤さんコメント:大きさとか多さを強調することばで、ネガティブにもポジティブにも使うんですが……標準語だと、“ざま”という言葉は「ざまあ見ろ」とか「このザマだ」みたいにネガティブな場面で使われることが多いので、ちょっと不思議な感じがします。